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診療科のご案内
生理痛とは、生理前から生理中に生じる腹部や腰の痛みを指しますが、ほかに頭痛・吐き気・めまい・下痢などを伴うこともあります。この生理痛が日常生活に支障をきたすほど強い場合を、月経困難症といいます。
月経期に子宮内膜から放出されるプロスタグランディンという物質が色々な臓器の平滑筋を収縮させることで生理痛を生じます。子宮筋腫・子宮内膜症・子宮形態異常などが生理痛の原因となる場合を器質性(続発性)月経困難症、特に原因が見つからない場合を機能性(原発性)月経困難症と分類します。一般的に、月経困難症の過半数が原因の見つからないもの、つまり機能性月経困難症に分類されます。
漢方においては、生理痛を生じる原因を「血虚(けっきょ。血やうるおいが足りない状態)」and/or「瘀血(おけつ。血のめぐりが悪い状態)」という2つの概念にあてはめ、西洋医学的な診断に関わらず治療を行います。
皮膚の乾燥や荒れ、髪が抜けやすい、爪がもろい・爪周囲の乾燥、唇が乾燥する・割れる、めまい、
顔色が悪い、こむらがえり(足がつる、など)、眼精疲労、など
目の下のくま、シミなどの色素沈着、下肢静脈瘤、赤紫~褐色の毛細血管が目立つ、いぼ痔、舌や
歯茎の色が悪い(暗赤色)、など
「当帰(とうき)」というセリ科の生薬を含む漢方が頻用されます。「当帰」とは「当(まさ)に帰る」とも読めます。昔、なかなか子宝に恵まれず里へ帰された女性が、山へ入ってせっせと当帰を採って食べ、少しずつ肌の乾燥や生理不順が改善して妊娠に適した体調になったことに気づき、愛する夫のもとへ今、「当(まさ)に帰ります」という意味で名づけられた(a)といわれています。また、当帰は「Angelica root」として非常に有名な西洋ハーブでもあります。Angelicaの語源は「天使(angel)」であり、当帰は「天使のように婦人の諸病を癒す」あるいは「天使のような子宝に恵まれる」薬草として名付けられたといわれています(b)。つまり当帰は、東洋でも西洋でも同じような効能を謳われてきたといえるのです。
(a)(b)諸説あります
牡丹皮(ぼたんぴ)という牡丹の根っこの皮や、桃仁(とうにん)という桃の種の一種を含む漢方が頻用されます。牡丹皮や桃仁とともに、昔はヒルやアブを乾燥したもの(それぞれ水蛭スイシツ、虻虫ボウチュウといいます)も瘀血を改善する生薬として使われていました。ヒルとアブ、どちらに血を吸われても血が止まりにくくなるのをご存じでしょうか? まだワルファリンなどの抗血液凝固薬が無いはるか昔から、自然界に存在する循環改善薬として、ヒルやアブ、そして牡丹皮や桃仁が使われてきたのです。現代では、様々な事情によってヒルやアブの生薬はほほ淘汰され、やや効力は劣るものの牡丹皮や桃仁が「瘀血」を改善する主たる生薬として使われています(ヒルやアブは使いませんので、安心してください)。
(文責・岡本英輝)